
天地試写会に行ってきました。映画で出てくる幾何学算術については、中学生程度の問題として様々な解法が紹介されています。
http://www2.ttcn.ne.jp/~nagai/waseda/wasan/tenchi.PDF
また、将軍徳川家綱の前で安井算哲(渋川春海)と本因坊道策の対局について、初手天元で双方キリチガイから始まる「風車」という戦法について、御城碁の記録に実在しないことも指摘されています。
さて、私が最も興味を持ったのは、暦の改変は人類文明史の変節点であるということです。生活風俗、農業、宗教、政治などあらゆるものが暦の背景にあるわけです。
@日本の太陽太陰暦の変遷
日本では862年の改暦以後、800年にもわたって宣明暦が使用し続けられた。原則的には太陰暦と同じ朔望月29.53日、太陰年354.36705日を用いたが、農耕に適するように何年かに1回閏月を加えて調整を行った。江戸時代の1685年になって、渋川春海により日本独自の太陰太陽暦(中国の授時暦由来)である貞享暦への改暦が実現された。以後、日本独自の太陰太陽暦の使用が続けられ、明治時代1873年にグレゴリオ暦が導入されたことで、その歴史に幕を閉じた。
Aキリスト教圏における太陽暦の変遷
紀元前45年に制定されて以降、キリスト教圏を中心に使用されてきたユリウス暦は、暦年の平均日数を365.25日とする近似法の太陽暦である。太陽年(実際に地球が太陽の周りを1周する平均日数)は約365.242 189 87日であるため、ユリウス暦では約128年で約1日の誤差が生じ、頻繁に補正することが必要であった。
これに対して新定されたグレゴリオ暦では、400年間に97回(100回ではなく)の閏年を設けることにより、平均年を365.2425日とした。「西暦紀元(西暦)の年数が100で割り切れてかつ400では割り切れない年は閏年としない。」というルールが採用され、この調整により平均年を365.2425日とし、約3224年に約1日の誤差となった。平年および閏年のそれぞれにおける各月の日数は、グレゴリオ暦、ユリウス暦とも同じである。
B世界暦の試み
世界暦は太陽暦に属し、グレゴリオ暦の不合理を是正する改暦案のひとつである。1月1日を日曜日に固定し、12月31日から曜日を取り除いて付加日とする暦法である。これにより曜日のある日は364日となり、7で割り切れる(364=52×7)ので、毎年の同じ日付が常に同じ曜日になる。さらに364日は4で割り切れ(364=91×4)、その商である91日も7で割り切れる(91=13×7)ため、各四半期ごとの日数を91日ずつにし、四半期の初日の曜日をすべて同じにすることができる。
ただし無曜日を設けると、旧約聖書以来数千年の伝統である「週」という7日間サイクルが断絶してしまう。この問題解決のため、平年を364日、閏年を371日(371=53×7)として5〜6年に1度の閏年を設ける対案がある。