会う人ごとにトランプが嫌いとか怖いとか、日本に不利益となるとか、トランプ新大統領の評判が悪い。アメリカでの支持率は45%しかなく反トランプ派による嫌がらせが絶えないようである。
日本車が売れるのはアメリカのユーザーが好んで選ぶからであって、それを悪とするならば、購入したアメリカ人を批判すべきであって筋違いも甚だしいという意見はもっともだと思う。また、日本でアメリカ車が売れないのは、大型車は日本の狭い道路では運転しにくいからであって、日本の事情に合う商品開発をすれば良いだけのことであり、BMWのように外車でも売れている車があるのに、日本市場の閉鎖性を根拠に批判するのは時代遅れも甚だしいという意見ももっともだと思う。
しかし、それではお互いにすれ違い日米の関係は悪化するばかりである。もう一歩引いて、なぜアメリカ人(トランプを支持する主に白人労働者層)がそのような日本嫌いになったのかを、彼らの立場になって考えてみようではないか。
想像してみよう。自動車の工場が立ち並んで栄えてきた自分の町が廃墟になり、今では誰も住まなくなったという情景を。ふるさとを失った人々の思いを。自分たちの作った車よりも外国(日本)の車を買うアメリカ人が増えるのを、失業して見つめてきた日々を。
その車はユーザーの使い勝手が良く、燃費が良く経済的であり、かつ環境に優しい。日本人はお金になることには優れて利他的であるが、儲けた後は自国の家族本位で、アメリカ人の家族のことなど知らぬ顔の連中である。つまりは使い勝手の良い鉄箱をアメリカにたくさん持ち込んで道路を満たしたのちには、アメリカの富を自国に持って行き、アメリカ人の文化がどうなろうと関係のない人々なのである。
一方アメリカ人はというと、日本文化をどれほどアメリカに受け入れて許容してきたことか。どれほどアメリカという国が他国にオープンであったことか。これではまるで泥棒たちに通行許可を与えてきただけではないか。いや泥棒というほど日本人はマナーは悪くない。むしろ最高級のマナーを持った連中だ。だからそれは詐欺というべきか、日和見で従順なルーピーというべきだろう。一見良心的に見えるからタチが悪い。結局は相手の心に入りこんでくる。まるで隙がない。でも結果から見ると見事に稼がれてきたし、アメリカの自動車産業は壊滅させられてきたのである。
文化の違い、肌の違いとも言える。であるならば、アメリカはもっと自国民の文化を大切にしようではないか。こう思うのは当然の流れだ思う。
もう一点、日本人が気付くべきこと。アメリカ人から見ると、中国人と韓国人と日本人の気質は近く感じるということ。さらには、エイジアンというひとくくりで見るとき、イスラム圏すらエイジアンであるということ。この感覚を理解すること。日本人にはぞっとする話だけど、これが現実だというところから考えてみましょう。
でも、考えてみてごらん。日本人はTPPに反対したり不安を語っていたじゃないのかな? イラク戦争への自衛隊派遣に不安だったのじゃないかな? 対米従属が行き過ぎていると感じてきたのじゃないかな? 今まで日本人が散々、アメリカの行動や国内がアメリカナイズすることを行き過ぎだと感じてきたはずですよ。そのことはアメリカ人自らも逆の立場で「何かがおかしい。」と感じていたということ。
「今までが行き過ぎていた。」という観点からトランプ大統領を見つめ直すと、これからは日本にとっても、日本人にとっても悪いことばかりじゃないと、私は思うよ。
さらに今年は、フランス大統領選挙、ドイツ首相選挙があります。イギリスのEU離脱もあり、ヨーロッパの動向が注目されます。