
去る11月13日の仙台講習会は、予定定員を20名以上も上回る70余名の参加を得て盛況でした。ジェネコン、サブコン、設計事務所、施工業者、コンサルタント、大学、東北電力、仙台市、防衛庁など、様々な立場の専門家の皆様のご参加をいただき、ここに厚く御礼申し上げます。
予定していた時間があっという間に過ぎ、最後の融雪技術についてのお話が詳しくできなかったのが残念でした。ここで補足させていただきたいのは、以下の点でございます。
(1)これからの社会形態を考える際に、「脱構築」ということがキーワードになります。ドラッガー氏の「ポスト資本主義」で言うところでは、「オーケストラ型」から「ジャズバンド型」の知識社会タイプの経済体制に入っているということです。日本の次代のリーディング産業は「環境技術」であると言われますが、これは資源工学や素材化学、量子力学、熱力学、機械工学、建築学、土木学など、あらゆる分野でそれぞれの技術革新がありますので、かつての自動車や家電のようなひとつのフィールドに集中する形態とは違うという認識が大切です。わかりやすく申しますと、「集中型」のリーディング産業の時代から、「分散型」のリーディング産業の時代に入ったということです。
(2)融雪分野でこれから特に中心となるのはどういうシステムかというご質問に対して、直接お答えできなかったのは、「競合よりも積雪寒冷地の共生」を大切にしたいという思いとともに、上記のような「分散型」のイノベーションの時代であるからです。技術開発の中では失敗することもあるでしょうし、先端分野もどんどんと移り変わっている時代です。どの分野もそれぞれに良い音を奏でる「ジャズバンド型」のイノベーションが日本にとって、そして積雪寒冷地にとっても大切だと思います。
(3)私の融雪における新エネルギー活用は地熱利用の研究が多いです。これは北欧や北米などを視察して、学会交流してきた経験によるものです。地熱と一言に言いましても、「地下水利用」、「地下蓄熱」、「地中熱採熱」、「直接利用」、「ヒートポンプ利用」など幅広い手法があり、それぞれの条件に応じて選択してゆくと良いと思います。また、ひとつだけというより、他の技術を併せたシステムもこれからは大切です。たとえば、「融雪剤自動散布と地中熱彩熱による融雪」、「ロボット除雪と融雪溝」などの組み合わせです。上記のように「脱構築」という考え方は、技術革新がまたさらに技術革新を生んでいくという流動的なスタイルのことです。
以上、いい足りなかったことを補足させていただきました。
今回、特に会場をお借り致しましたユアテック様、幹事の太平電気様には大変お世話になりました。ありがとうございました。